奇跡の後日にラプソディを

May 26,2019

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pixivファンタジア

今この世界が存在しているのは、世界が始まる前の”無”と世界が終わった後の”無”に挟まれた、正しく奇跡のような瞬間だからだ。

世界が生まれる前、世界があるはずの場所には何も無かった。
永劫のような”無”だけがあった。

けれど、それは”奇跡的に”終わった。
そこに世界が生まれたからだ。

それは、きっと、紛れもない奇跡。

未来永劫、無が続くかと思われたその空間に、世界が在る。
それは『奇跡』という言葉が陳腐にすら思えてしまう程の、途轍もない秘蹟(サクラメント)だ。

けれど、突然に終わった無のように、その奇跡もまた永劫ではない。

この世界の存続。
それ自体が綱渡りのような奇跡の連続なのだから。

きっといつか、いかな理由かは分からないけれど、この世界を存続させている奇跡の連続は、終わる。
世界はまた、いつ終わるとも知れない永劫の無へと回帰してしまう。

だから今、ここに存在している世界は、空間に満ちる虚無という湖面に浮かぶ木の葉のようなものだ。
この世界は、奇跡の箱舟なのだ。

そんな奇跡のような世界に、奇跡のような確率で生まれてきた命は、しかして、些細な出来事でその命を散らしてしまう。

それは不慮の事故であったり、因縁の末の殺し合いであったり、どうしようもない病であったりするのだけれど……人は誰しも、往往にしてその不幸から逃れる術は無い。

神さまは、人が生まれてきた事を奇跡だとは言っても、今生きている事も奇跡だとは、認めてはくれなかったのだ。

比翼連理が為した”誕生”と言う奇跡は、臍の緒が切れた時に終わってしまった。

奇跡と言う揺り篭から放り出された赤子は、泣き喚きながら這いずり回っている。
その身に傷を負いながら、少しでも明るい方を目指して彷徨っている。

人は皆、そうやって擦り切れながら、命の限り歩み続けている。

そんな奇跡の後日を、笑い合って生きている此処の皆が、僕には少しだけ、眩しい気がした。

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誰とは言わないけど猫路とか言う人の2章の投稿数少なすぎでは……?